当院では、50歳以上の方を対象に脳のMRI-MRA、VSRAD、長谷川式を組み合わせた認知機能ドックを行っています。MRIの検査データを使い、認知症の原因と考えられる脳の萎縮度を調べる「VSRAD(ブイエスラド)」や、長谷川式検査によるスクリーニングを含め、症状なども加味して総合的に判断します。検査の結果、精査が必要な方には専門医の受診をおすすめしています。



■MRI・MRA検査所要時間 30分
脳腫瘍、脳萎縮の程度、過去に生じた脳卒中(脳梗塞や脳出血などの総称)等を検査するMRI検査と、脳動脈瘤や狭窄、閉塞などを検査するMRA検査を同時に行います。放射線を使用しないため、被ばくはありません。
■脳萎縮評価支援システムVSRAD(ブイエスラド)

VSRAD(ブイエスラド)とは、MRI画像を用いて脳の萎縮をコンピュータ処理して調べる検査のことです。解析ソフトを使って健常な人の脳の容積と比較し、検討を行います。これにより、アルツハイマー型認知症に見られる『海馬傍回※の萎縮』を定量化することで、診断の支援をします。ただし、VSRADはあくまで診断の一助となる検査であり、この結果のみでアルツハイマー型認知症を診断することはできません。症状・経過などと合わせて総合的に診断することが大切です。
※記憶の形成・保持・再生をつかさどる領域のこと。非常に小さな領域で、海馬の周辺に位置しています。
アルツハイマー型認知症では、海馬傍回付近の萎縮が早期にみられるため、MRI撮影した脳の画像情報をもとに、海馬傍回※付近等における脳の萎縮の度合いを検査します。頭部のMRI画像を撮るだけで検査できるため、通常のMRI検査の一環として行うことができ、検査中の痛みはありません。食事制限等もなく、検査前後も普段通りに生活できます。
MRI撮影した頭部の画像データと、健康な脳の画像データの比較

■長谷川式検査所要時間 10分
認知症の疑いや認知機能の低下を早期に発見できるスクリーニングテストです。 記憶を中心とした認知機能障害について調べるスクリーニング検査で、9つの質問から構成されます。それぞれの質問には1~6点の得点が配点され(計30点満点)、点数が20点以下の場合には「認知症の疑いがある」とされます。検査時間は5~10分程度で、比較的短時間で行うことができます。ただし、HDS-Rの点数だけで認知症の診断はできません。HDS-Rはあくまでも「認知症の疑いがあるかどうか」の目安をつける目的のスクリーニング検査です。
検査料金 | 27,500円(税込) |
一般社団法人 脳ドック学会によると、脳ドックでは脳血管障害(無症候性脳梗塞や未破裂脳動脈瘤など)、脳腫瘍、認知症などの疾患が診断されることがあるとのこと。これらを早期に発見することで、必要に応じた対応をとれる可能性が高まります。
